テストステロンは男性ホルモンの一つであり、第二次性徴から20代頃に分泌のピークを迎え、骨や筋肉を作り上げていきます。また、精神的影響ではやる気を出させる、明るい気分にさせることが知られており、その他にも性欲や男性機能を向上させることが知られています。

このテストステロンは、おおよそ45～50才頃分泌量が急激に減少し (G. E. Coles Sr. p.1)、心身ともに影響を及ぼすことが近年研究によって明らかになっています。

テストステロンは、近年アメリカにおいて最も広く処方されている医薬品の一つであり、調査が行われたほとんどの年で50代、60代の男性のほうが40代よりも多く処方されています (Z. Javed. p. 60)。

また、憂鬱な気分の症状がある人のうちTRTを処方される割合は1.52％（2016年）であるのに対し、そうでない人は0.68％（2016年）であり、その他の年も総じて憂鬱な気分の症状がある人のほうが処方を受ける割合が高いという結果でした (Z. Javed. p. 131) 。

TRTを受ける人の気分にどのような変化があるのか、これまでいくつかの研究が行われてきました。

150人の男性（19～68才）に対してテストステロンクリーム（1％配合）を使用した研究（2004年）では、6カ月間使用することで「明るい気分である」と回答した割合が開始前より増加し他一方、「ネガティブな気分である」と回答した割合は減少し、研究期間終了まで低いままという結果でした (G. E. Coles Sr. p. 29)。

また、2019年にはTRTを12ヶ月受ける90人の男性と治療を受けない90人の男性（いずれも45～64才）の2グループを対象として、気分の変化に特化した研究が行われました。この研究では、「憂鬱な気分」「不安」「注意力不足」の各スコアはTRTを受けたグループのほうが低い結果となり (G. E. Coles Sr. p. 63)、これらの症状を緩和する効果があると結論づけています (G. E. Coles Sr. p. 65)。

TRTで用いられているテストステロン補充クリーム・経口薬の他に、ED治療薬タダラフィル5mg（シアリスのジェネリック薬）も憂鬱な気分に効果があるとして議論されています。

  Kim et al. (2020)によると、抗うつ薬は憂鬱な気分に対する治療薬としてよく用いられますが、EDを引き起こしたり、EDの症状を悪化させる可能性があります。また、抑うつ症状とともにEDを発症した際、生活の質が著しく低下する恐れがあります。

タダラフィル5mgを２カ月間毎日服用した研究では、EDの症状が改善したことに加え、抑うつ症状も大きく改善したという結果が出ています。（Kim et al., 2020）

このように、タダラフィル5mgの服用は、一般的に知られているアンチエイジング効果に加えて抑うつ症状にも効果が期待できるとのことです。

TRTに用いられるクリーム、経口薬は、日本でも医師から処方が行われています。当院では、無料のオンライン診療にてお気軽に医師へご相談いただき、治療を希望される方に処方を行っています。

扱っているテストステロンクリーム、経口薬は下記の通りです。

年をとるにつれて気分が落ち込むようになった、という方は、ぜひこの機会にTRT治療を検討してみることをおすすめいたします。

参考文献
G. E. Coles Sr. “The Psychological Impact of Testosterone Replacement Therapy in Middle-Aged Men”. Walden Dissertations and Doctoral Studies Collection, 2019, p.87.

K. S. Kim, T. Y. Jeong, H. S. Moon. “Effect of daily tadalafil on reported outcomes in patients with erectile dysfunction and depressive symptoms”.Medicine (Baltimore). 2020 Jun 5; 99(23): e20546.

Z. Javed. “ Hypogonadism, Testosterone Replacement Therapy and Risk of Depression in Middle Aged and Older Men in the US”. 2019, p.172.ENGLISH TRANSLATION by DeepL